201808-01

写真はここ数年、建築士会で関わってきた八幡市の男山団地である。所有・管理者のUR(都市再生機構)・関西大学・八幡市・京都府でH25年に四者協定を結んでこの地域の再生に取り組んでいて、後者2つの方とは直接接点はなく主にURと関西大学の担当者と共同してきた。URについては「URでアール」のコマーシャルでご存知の方も多いと思うが日本全国に相当数の住宅を所有・管理しており男山団地は西日本で3番目の大型の団地である。今後の人口減を見込んで男山団地は集約(建物を減らしていく方向)する方針のようだが色々なキャンペーン等(若年層をターゲットに家賃を安く設定したり、何か月かの家賃を無料にして内装を自分で行うDIY制度がある)もあり、想定よりも団地の人口は減っていないようだ。(はっきりとした数字は公表されないので推測だが)一方男山団地周辺にあるワンオーナー型と思われる賃貸住宅は外観からの判断だが相当数空き家になっているように見える。同じ地区ならしっかりと管理されているURの物件の方に移住者は流れて行ってしまうのだろう。団地内には住戸ずつに分譲された5階建ての建物もあるが(分譲団地と呼ばれている)現在所有者はそこには住まず、賃貸住宅にしている住戸が相当数あり、(オーナー貸しと呼ばれている)ここも上階を中心に空室が増えているようだ。人気のあるUR物件が近くにあることは、地域全体のイメージ向上や活性化ではプラスの面もあるが、賃借人の奪い合いという意味では競争相手でもある。分譲団地には「管理組合」なるものがあり、住戸所有者情報の管理から建物の清掃や維持管理を行っているのだが輪番制で役を回していることもあり、あまり組織としてしっかりしているところは少なく、URに賃借人の争奪で太刀打ちできるような状態ではないだろう。ワンオーナー型は修繕の費用などを計画的に貯めているかどうかで状況は変わるが、現在空室が多い建物に商品価値をあげる投資を行うリスクを負うオーナーは少ないのではないかと思う。しかしワンオーナー型は意思決定が簡単なので建物をグレードアップすることも処分することも可能だ。一方、分譲団地は意思決定に多くの手間と時間を要するため今後事態は深刻になるだろう。分譲団地の所有者は管理費と修繕積立金を毎月支払わなくてはならないのだから、賃借人のつかない住戸はオーナーにとって文字通り「負動産」なのだ。「負動産」と感じているオーナーが集積した団地はどうなるのだろう? 分譲団地の管理組合に今後おとずれる危機的時代に対応できるのだろうか?